“ また、澪が匂いや味を感じられなくなった時には、2ヶ月間、「つる家」を住み込みで手伝った。伝右衛門同様あさひ太夫を敬愛し、あさひ太夫を守るためならば人殺しさえやりかねないほど。時々「つる家」を訪れて、あさひ太夫に澪の作った弁当を運ぶ。 あさひ太夫のことを探っていた清右衛門や、芳をだました富三を殴るなど、当初は暴力的な面も目立ち、ふきには恐れられていたが、「つる家」の人々や客たちと触れ合ううちに穏やかになっていった。 あさひ太夫が9才でまだ禿だった頃の又次は、花長楼で料理番をしながら、殺しの仕事も請け負っていた。 その後、摂津屋らあさひ太夫の馴染み衆の説得を受け、「鼈甲珠」の作り方を澪から4千両で買い取る形で、あさひ太夫の落籍を認めた。 ”